ユーザーイリュージョン 意識という幻想

 トール ノーレットランダーシュ著 紀伊国屋書店

 

このページには上記の本の中から拾い集めた、フェルデンクライスの勉強に重要な示唆と私が思うものを記載しました。興味のある方はぜひお読みください。

この本にわたしが強く引かれたのは情報の伝達と、意味の伝達に関する部分と、この情報理論をもとに解明される意識の(特に時間関係)部分に興味も持ったからです。いろいろな疑問に少しヒントを与えてくれたと感じた本です。以下はその内容から引き出しました。

意識と無意識はフェルデンクライス  メソッドでの中心的課題の一つです。特に動きをしているのは、はたして「誰か」?

ここに記載した短文は、はたしてどれだけフェルデンクライスの学習に寄与できるのだろうか? どう利用したら動きを改善できるのだろうか?

とてもとてもすばらしい本です。ここ数年間で読んだ最高の一冊。


 

第一部 計算

 

第二部 コミュニケーション

 

第三部 意識

 

第四部 平静

 

 

以上。


エクササイズ1.

1〜4までをいったん読んでから実際にやってみよう。

  1. 目を閉じる

  2. 首を回す

  3. 目を一瞬明けてすぐ閉じる

  4. 目を閉じたままで今見た情景を思い出してみよう

一瞬目を開けたときに(意識で)とらえた絵以外にも、目をつぶったままでそのほかのものを思い出すことができる。その絵はもう「目にして」いないのにそこに<意識>を向けることができる。言い換えれば、まばたき一回の間に即座に気づくよりもはるかに 多くのものを見ていることになる。意識はゆっくりと動く。意識は見たものすべてを、一度に(意識して)知覚できない。

 

エクササイズ2.

 

今読んでいるこの段落に指を置いて、このページの先頭の段落を一、二秒間見る。注意してじっと見る。それからこの段落に戻る。さあやってみよう。

 

このエクササイズの間あなたは何を考えていただろうか?。思考を再現してみよう。ゆっくりとでいい。その間にいろいろなことを考えていたはずだ。「著者の狙いは何だろう」「なぜ落ち着いて読ませてくれないのか」等々、沢山のことを考えていたはずだ。なにを考えていたかは問題ではない。重要なのは何かを考えるより、何を考えていたかを自分に説明するほうがずっと時間がかかることだ

 

この二つのエクササイズでわかるのは意識の活動は人間の(全体的な)心的営みよりもはるかにテンポが遅いことだ。頭の中では自分で気づいている以上のことが起きているのがわかる。止まって考えない限りそれには気づかない。

 

人間は即座に経験するもの以外に、その気になれば(意識を向ければ)経験できるものがずっと沢山ある。

 

意識には単一性という性質がある。人間は一度に一つの対象を意識するか、一つの感覚様相(聴覚、視覚、味覚、触覚、嗅覚)を意識するかの一つしかない。(意識してもしなくても感覚器官には意識できるよりもはるかに多くの情報が入力されてはいるが)

 

エクササイズ3.

 

多少雑音の出るテレビをヘッドフォンで聞いてみよう。出来ればビデオの方が雑音が出やすい。明らかにしゃべり声はテレビから聞こえてくるが、雑音はヘッドフォンから聞こえてくる。聞くと いう体験は耳に入ってきたものを無意識のうちに解釈し信号と雑音、つまり地図と地に分類している。

 


 

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